アルサデラ、ヴァロラン、プレセル計画(1984-2057~)

この文書は、日本国、他4国の政府から提供された報告書を基に、作成したものである。

 1984年、アメリカは技術の発展に伴い、深宇宙の研究のために、無人探査衛星「セニーラ」を打ち上げた。セニーラは、深宇宙からの信号を受け取るため、衛星軌道上に入り、受け取った信号を地球に向けて発信した。

 この計画を、アルサデラ計画と呼ばれ、この計画は、順調に進行した。

 しかし、1988年、突如セニーラからの信号が途絶えた。アメリカは有人による調査が行われた。セニーラ外部に異常は見られなかったため、内部による調査が行われた。その時、内部から30cmほどの黒い欠片が発見された。政府直属の研究機関は、持ち帰った欠片の調査を行った。

 その欠片からはわずかな生体反応が現れ、研究機関は、その生命体を「クローツ」と名付け、さらなる調査を行なうため、2014年に、他国の研究機関とともに行なう、世界共同の計画として始まった。この計画を、ヴァロラン計画と呼ばれた。

 計画が始まってから17年後、日本の研究機関で、「クローツ」が増殖しているのを発見した。直ちに隔離し、他国を招集して報告を行なった。「クローツ」は短時間で増殖する能力を持っているとして、さらなる研究の必要性を明白にした。

 そして2034年。さらなる研究結果が出てきた。「クローツ」は短時間で増殖し、そして他生命体を食し、そして知能を備わってるとした報告書をまとめた。凶暴性がある可能性が高く、これ以上の研究は危険であるとフランスは主張したが、アメリカ、ロシア、日本、そしてイギリスはその主張を退け、続行された。フランスはこの計画から外れた。

 フランスの主張は的中した。2039年、日本の研究機関で、「クローツ」の暴走が確認され、研究チーム全員が死亡する事件が発生。そして研究所から「クローツ」が脱走し、日本国内はパニックに陥った。この事件は計画に参加した、アメリカ、ロシアでも起こった。イギリスとフランスはこれを恐れ、海底深くに隔離した。

 この惨劇で、日本は、本土を放棄。本土から離れて位置する海上の上に、人口の都市を開発。生存者たちはこの地で生活している。現在、本土は「ダークゾーン」と呼ばれ、クローツが占拠している。

 その後、ヴァロラン計画参加国の研究チームに加え、中国やオーストラリアなど、他5国が集まり、生存者たちを対象に調査を行なった。すると、生存者全員に「クローツ」の反応があるとして、さらなる研究を行なった。

 一方、放棄された本土で調査していたチームから、1人の少女が発見したとの報告が入り、直ちに救助し、同様の検査を行なったところ、彼女からは「クローツ」が高く反応し、彼女は人間に擬態した「クローツ」ではないかという仮説を立てた。研究チームは彼女を被験体にし、同年、2057年に新たな計画が始まった。この計画を、プレセル計画と呼ばれた。

 この計画は、少女の生活サイクル、IQ(知能指数)、EQ(感情知能)を調べ、その結果、少女は人間と同じ考えを持ち、同等にIQ、EQが高いことを証明した。これは、人間と同じように、学び、吸収することができるということだ。

 また、彼女は「クローツ」の反応が高い。彼女を観察していた女性スタッフが、時々少女が「クローツ」と同じ行動をとることがあると報告した。これは同種への本能的な回帰か、あるいは二種の能力を取り組もうとする試みか、それは定かではなかったが、どちらにせよ、彼女を「クローツ」と同種であるという結論づけることになった。

 研究チームは、「クローツ」に対抗する技術を見つけることになるが、それはまだ、遥か先のことである。


プロジェクト名(プロジェクト期間):参加国

アルサデラ計画(1984-1987):アメリカ合衆国

ヴァロラン計画(2014-2039):アメリカ合衆国/ロシア/日本/イギリス/フランス

プレセル計画(2057-):アメリカ合衆国/ロシア/日本/イギリス/フランス/中国/オーストラリア/韓国/メキシコ/デンマーク


著作:北山 佳
原作:ダークローグ